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登進研バックアップセミナー79・講演内容

不登校―動けない子をどう動かすか

不登校―動けない子をどう動かすか
講師 生田倫子(神奈川県立保健福祉大学専任講師)

 私の専門は「家族療法」です。といっても、ご存じない方もいらっしゃると思いますので、まず簡単に家族療法とは何かについてご説明したいと思います。
 不登校の場合もそうですが、一般的に悩みを抱えているご本人ほどカウンセリングを受けに来られません。そのため、ご家族など、本人のまわりで困り果てた人が相談にみえる場合が多いのです。そんなとき家族療法は、非常に効果的なやり方といえます。

 家族療法では、直接本人に介入するというよりは、まわりの人にアプローチしていくやり方をとります。まわりの人から玉突きのように次々と変えていって、本人を少しずつ変化させていく療法といえます。
 私がこれからお話しする「ブリーフセラピー」(短期療法)は、家族療法の大きな一派であり、家族療法とほぼ同様の意味と考えてよいと思います。

穴ボコにはまってしまった太郎くん

 私は、カウンセラーとして親御さんや学校の先生にお会いするとき、最初に「穴ボコにはまってしまった太郎くん」の例を出して説明することにしています。不登校になったお子さんを「穴ボコにはまってしまった状態」ととらえて、その穴からどうやってひっぱり上げるかを一緒に考えるためです。

 太郎くんが落ち込んでしまった穴は、小さい穴なら自力で抜け出すこともできますが、どうやらもっと深い穴に落ち込んでしまったようです。最初は本人も一刻も早く抜け出したいと思うんですが、穴の中には漫画やゲーム、テレビやパソコンもあったりして意外と居心地がいい。慣れてしまうと、逆に、以前いた穴の外が怖いところに思えてきて、外に出るのが面倒くさくなってきたりします。

 親御さんや担任の先生は一生懸命ひっぱり上げようとするんですが、1週間、2週間、1カ月…と長期戦になってくると、だいたい「お前のひっぱり方が悪い」とか「学校がもっと強くひっぱってくれないと」などともめはじめます。そうなると、太郎くんはますます穴から出たくなくなってしまいます。

 このときに大人たちはどんなもめ方をするかというと、ほとんどの場合、「こうなった原因は○○にある」という原因探し、犯人探しでもめるんです。
 お父さんは「お前(お母さん)の育て方が悪いから」と責め、お母さんは「あなた(お父さん)が仕事ばっかりで、家のことをほったらかしにしたから」あるいは「不登校になったのは学校と友だちが原因なんだから、学校がもっとちゃんと対応してくれないと」と文句を言うという具合で、原因探しを始めると必ずもめ事が起こってきます。

原因を解決すれば、登校できるのか?

 ブリーフセラピーの考え方で大事なことのひとつは、原因を重要視しないということです。原因はとりあえず置いておいて、とにかく穴の中から救い出す努力をする。なぜ穴の中に入ってしまったのかはあとで考えることにして、穴から出すことに集中するわけです。

 そもそも不登校の原因と結果が、すっきりと直結するケースは少ないのです。
 「Aちゃんにいじわるされたので不登校になった。だから、Aちゃんに謝ってもらったら学校に行けるようになった」なんていうケースは本当に少ない。実際は、Aちゃんに謝ってもらって気は晴れたけど、でも学校には行けないということがほとんどです。

 実際に再登校のきっかけになったことを調べてみると、「えっ?!」と思うようなささいな出来事だったりすることがよくあります。ご両親が2人でデートに出かけた翌日から学校に行くようになったとか、マンガを一冊読んだ次の日に行きはじめたとか、幼なじみにばったり会ってからすぐに登校しはじめたとか、不登校の原因とはまったくつながらない出来事が契機となったケースがかなり多い。

 つまり、不登校になった原因と、再登校のきっかけ(結果)は対応しないことが多いということです。ですから、不登校の原因にあまりこだわらないほうがいいし、原因を解決すれば問題も解決するという考え方は当てにならないということです

ポイントは、夫婦が同じ対応をすること

 何がきっかけで行きはじめるかわからないから、とにかく原因は置いておいて、いろんなことをやってみましょう、試してみましょうというアプローチをするのが、ブリーフセラピーの方法です。

 たとえば、お父さんのやり方とお母さんのやり方が正反対になっていることがよくあります。穴ボコにはまった太郎くんを一生懸命ひっぱり上げようとしているのですが、お父さんとお母さんのひっぱる方向がバラバラ。これではひっぱり上げることはできません。
 以前多かったのは、お母さんが「早く行きなさい!」とか「どうして行かないの?!」と登校刺激をくり返す一方で、お父さんは「ほっとけ!」と言うケースです。最近は逆で、お母さんが「登校刺激をしたらダメよ!」と言うことが多くなっているようですが、いずれにせよ太郎くんを相反する方向からひっぱっていることに変わりはありません。

 こうしたケースでは、何度カウンセリングを重ねても埒が明きません。そこで、あるご両親は、ジャンケンをして負けたほうが勝ったほうのやり方に1週間合わせることにしました。その結果、いつも「学校に行け!」と登校刺激をしまくっているお父さんが勝って、内心は「登校刺激はダメ」と思っているお母さんもそれに合わせた対応をしたところ、1週間もしないうちに学校に行ったというケースもあります。

 このケースを見て、登校刺激を積極的にやったからよかったのかというと、そうではありません。それまで正反対の対応をしていたお父さんとお母さんが同じ対応をしたところにポイントがあるのです。だから、逆にお母さんの「登校刺激はダメ」という姿勢にお父さんが合わせたとしても、うまくいったかもしれません。

「観察」することの重要性

 不登校という穴ボコに落ちてしまった子どもは、一日中じーっと穴の底にへばりついているようなイメージがありますが、実はそうでもないんです。
 初期の頃は親が強くかかわりすぎて穴の底にへばりついている場合も多いのですが、親が強くかかわるのは、たいてい日曜日の夜から月曜日の朝までですから、そのときはじーっと穴の底にへばりついて動きません。じゃあ一日24時間、月曜日から日曜日までずーっとこの状態が続くかというとそうではなくて、金曜日の午後などは意外と機嫌よく家の中を動きまわったりテレビを見たりしている場合が少なくありません。

 では、穴の底にへばりついているときと動きまわっているときと、どっちが穴の底からひっぱり出しやすいでしょう? 当然、機嫌よく動きまわっているときですよね。

 重要なのは、そういう子どもの状態や変化を「観察」することです。それまで不登校の原因は何だろうと考えていたエネルギーを、すべて「観察」に向ける。いつも穴の底にへばりついていると思い込んでいたけれど、そうではないんじゃないか。どんなときに穴の底から出てきて、ちょっと動いたりするのか、調子がいいのはどんなときかを「観察」する。そして、そのときをつかまえて何かできないか作戦を考えてみましょう。

 まずは現在、お父さんとお母さんがどんなひっぱり方をしているか観察してみることをおすすめします。ご両親とも、それぞれよかれと思ってひっぱっているわけですが、ひっぱり方があまりにバラバラだったり、あるいは、お母さんひとりだけでひっぱり上げようとしていないか。そのあたりを観察することから始めてみてください。

エプロンのシミ理論

 ここに真っ白いエプロンがあると思ってください。そのエプロンの隅っこに小さなシミができてしまいました。そうすると、エプロンを見るたびにシミの部分に目が行ってしまいます。そして、気になるシミをなんとか消そうとして、漂白剤を使ったらどうか、クリーニングに出したらどうかなど、いろいろ考えたりします。
 このように人間は、ネガティブなところ、うまくいかないところ、欠点などに目が向きやすく、かつ、それを修正・改善しようとする生き物です。だからこそ、ここまで進化してきたわけです。

 ところが、対人間についてもこういう考え方をしてしまいがちで、わが子を見たら、まず欠点に目がいく。そして、その欠点を修正しよう、修正すればもっとよくなるはず…と考えてしまう。それですくすく育ってくれればいいけれど、欠点ばかり指摘されたり、修正を強いられるなかで、つまずいてしまう子も出てきます。

 ここで見方をちょっと変えてみましょう。
 確かにこのエプロンにはシミがあるけれど、シミを除けば真っ白でとてもきれいだし、デザインも可愛いし、ポケットがあって便利だし、いいところがたくさんあります。そういう長所を、できるだけたくさん探すこと。これがブリーフセラピーの“基本のキ”です。

 人間は欠点を指摘されつづけると、自分が欠点だらけの人間のように思えてきて、自分のなかで欠点(シミ)がどんどん大きくなっていきます。逆に、長所をほめられつづけると、自分にはいいところがいっぱいあると思えるようになり、相対的に欠点(シミ)が小さくなっていくのです。
 欠点という「陰の部分」に注目するのではなく、いいところ、「光あるところ」に光をあてる。光あるところに光をあてたとき、光をあててもらった人は、「自分のことを本当に理解してもらえた」と感じて、固く閉じた心を少しずつ開くようになっていきます。

人が「理解してもらえた」と思うとき

 どんな人にも欠点があり、欠点と長所が裏表になっていることもよくあります。たとえば、長年つきあいのある友人が、あなたを評してこう言ったとしましょう。
 「あなたはわがままなところがあって、なんでも自分の思いどおりにならないと気が済まないし、ワンマンで自分の価値観を人に押しつけるところがあるんだよね」
 その友人は、あなたのことを本当によく理解したうえで、冷静に客観的に言っているんですが、それでも、これを言われたあなたはなんだか面白くないし、「自分のことをよく理解してもらえた」とは思えないのではないでしょうか。

 では、同じことを別の言い方で言ってみましょう。
 「あなたは自分の意見をしっかりもっていて、それを人に伝えるのが上手だし、リーダーシップもあって、話を聞いているとその気にさせる力があるのよね」
 どうですか? こんなふうに言われたら、きっとあなたは「自分のことを理解してくれている」と思うでしょう?
 要するに、内容のいかんにかかわらず、またその内容が正しくても、人間は非難されたときは「自分のことを理解してもらえた」とは思わないのです。一方で、長所や可能性を指摘されると「理解してもらえた」と思いやすいんです。

メタメッセージの理解

 今日、私がみなさんにお伝えしたいのは、これからお話しする2つの技法です。
 ひとつは、「メタメッセージを理解する」ということです。メタメッセージとは、相手が「本当に伝えたいメッセージ」のことですが、これを正しく受けとることは、案外難しいことです。

 たとえば、5歳の男の子がお母さんにこう言いました。
 「このあいだ弟が先にちょっかいを出したから僕が叩き返したら、僕だけ叱られて、しかもお父さんにも怒られた。弟はすぐ泣いて、お母さんにすぐにだっこしてもらって得意げな顔をするのがむかつく。お母さんなんか死ねばいい!」

 さて、この男の子は何を言いたいのでしょうか。
 おそらくこの子が本当に言いたいのは、「弟ばっかり可愛がられてずるい」とか「自分だって甘えたいのに」ということだと思いますが、親にとっていちばんインパクトのあるのは「お母さんなんか死ねばいい!」という言葉でしょう。そして、「愛するわが子に死ねばいいと言われた」というショックでいっぱいになるのではないでしょうか。

 しかし、「死ねばいい」はいわば勢いで口に出てしまっただけで、この子が本当に伝えたいのはそこではありません。
 話の聞き手は、一般的にインパクトのある言葉に気をとられやすいものです。そして、相手が伝えたいのは、その脇のさりげない言葉かもしれません。でも、そこに気づかず、インパクトのある言葉にとらわれてしまうことがよくあります。

 私は、長年、児童養護施設に勤めていたんですが、施設の子どもたちが保育士を自分の思いどおりにしたいときに使う言葉は「信頼できない」「お前には養育者の資格がない」「やめればいい」の3つでした。これを言われると、保育士さんたちはガーンとショックを受けて精神的に崩れてしまいます。そうなると子どもから見て、思いどおりになったり、要求が通りやすいわけです。無断外泊をしたけど許してもらえるとか、携帯を買ってもらえるとか、保育士さんにダメージを与えることによって要求が通りやすくなる。さらに、それを他の子たちが見て、同じ手を使うようになったりする。

 そこで私は、保育士さんたちに3つの言葉は聞き流して、この子は本当は何を言いたいのかを聞き取るようにとアドバイスしました。すると、「携帯を買ってくれ」とか「11時以降に起きていても叱らないで」とか、そんなことしか言ってなかったりするんです。
 このようにインパクトのある言葉に惑わされずに聞くということができるだけでも、相手とのコミュニケーションはだいぶスムーズになります。

コンプリメント(ほめ言葉)の技法

 もうひとつは、「コンプリメント」という技法です。コンプリメントとは「ほめ言葉」という意味であり、相手のいいところや可能性を探し出してほめることはカウンセリングの基本です。
 そもそもカウンセリングに連れて来られるような子は、まわりから見るとなかなかいいところが見つからないような子です。「ほめようと思っても、ほめるところがないんです」とおっしゃる親御さんもたくさんいます。

 でも、よーく考えると、ほめるところはたくさんあるんです。そこをいかにほめるかということで、コンプリメントには大きく分けて3つのやり方があります。

 

①直接コンプリメント

 「あなたって、○○がすごいね〜」というように、私はあなたのことをすごいと思っているよとダイレクトにほめるのが、直接コンプリメントという方法です。ストレートで単純なほめ方ですから、日常的にいちばんやりやすい方法といえます。

①間接コンプリメント

 「○○さんが、あなたのことをこう言ってたよ」と、誰かの言葉を伝えるかたちでほめるのが、間接コンプリメントです。

 ご家庭でこの手法を使う場合、いちばんやりやすいのは、お母さんが「お父さんがこう言ってたよ」と伝える方法です。一般的に、お父さんは仕事が忙しくて子どもと顔を合わせる暇がなかったり、子どもから煙たがられている場合も少なくありません。そんなときこそ、間接コンプリメントが有効です。
 直接コンプリメントだと、「お世辞じゃないか」「本当はそう思ってないくせに」と受けとる子どももいますが、間接コンプリメントの場合は、面と向かってほめられたわけではないので真実味があり、より説得力が増します。

 「お父さんがね、あなたのことをやさしい子だって言ってたよ」とか「あなたは絵がうまい、才能があるってほめてたよ」と、お母さんが伝えることは非常に効果があり、これだけで、お父さんとお子さんとの関係改善に大いに役立ちます。

 なんだったら、お父さんがそんなこと言ってなくてもいい(笑)。「勉強はさっぱりだけど、絵はまあまあだな」と言ったら、その言葉を何倍にも水増しして、「お父さんが、あなたは絵の才能があるって感心していたよ」と伝える。

 とくに男の子の場合は父親をすごく意識していて、お父さんの存在を恐れたり、なるべく父親を遠ざけたいという心理がはたらくものです。そんなとき、この間接コンプリメントが非常に有効です。

 

①質問技法

 「え〜! なんでこんなことできたの?」とか「これってどうやったらできるの?」というように、質問のかたちでほめるのが質問技法です。

 子どもは、その質問に答えていくうちに自分で自分をほめるようなかたちになります。そうなるような質問を考えて、子どもに投げかけていくのがポイントです。これは少々難易度が高いですが、それだけにかなり有効な方法です。

コンプリメントの実践練習

①いいところを探す

 では、これから会場のみなさんに「直接コンプリメント」の実践練習をしていただきます。次にあげた文章を読んで、この小学校3年生の次郎くんのいいところを5つ以上、できれば10個くらい書き出してください。制限時間は3分です。ちょっと発想を転換するだけで、欠点と思っていたものが長所でもあることに気づくはずです。そうすれば、ざっと30くらいは長所があげられますよ。

【ゲームに夢中な子ども】小学校3年生の次郎くんの場合

 今日もお母さんに宿題しろって言われたけど、ゲームの○○をクリアしないと。クリアしたら宿題するからって言って、気づいたら10時過ぎてて怒鳴られたからしぶしぶ寝た。お母さんはいつも怒るし怖いから嫌い。僕は頭が悪いから、どうせ勉強やったって同じだよ。ゲームはクリアできたとき、僕ってすごいなって思えるから好き。怒られるのは慣れてるからヘッチャラだよ

②いいところを他者と共有する

 次に、お隣に座っている方と2人1組になってください。お隣がご夫婦だったりする場合は、席を移っていただいて知らない方と組んでください。そして、ペアになった方同士で、書き出した長所の内容を共有してください。

③コンプリメントを体験する

 今度はペアになった方同士で、一人が次郎くん役、もう一人がお母さん役(またはお父さん役)になって体験学習をしていただきます。次郎くんが上記のように言ったことに対して、まずは、①ありきたりな親子の会話(子どもを責めたりダメ出しをするような会話)をやってみてください。そのあとで、②コンプリメントバージョンの2つをやってみて、その違いを比べてみましょう。じゃあ、スタート!
 次に、次郎くん役とお母さん役(またはお父さん役)を入れ替えて、同じように①と②の会話をしてみてください。

 はい、終了してください。ちょっと感想を伺ってみましょう。いかがでしたか?


【男性参加者の感想】

 次郎くんの役をやったとき、①の会話では責められてる感があって、②のコンプリメントバージョンのときには、「結果的には勉強はしなかったけど、ゲームを終えたら宿題をしようと計画していたことは偉かったね」とほめられて、ホントにうれしくなりました(笑)。自分が認められたというか、自己肯定感が高まって、次はちゃんと宿題をやろうかなという気持ちになりました。

 このご感想はとても重要で、普通はこの子の「ゲームがやりたいから宿題をやらない」という主張をほめたら、ますます宿題をやらないんじゃないか、ゲームばっかりやるんじゃないか、と思いますよね。ところが、実際にコンプリメントされてみると意外にそうではなく、今のご感想のように「宿題やろうかな」という気持ちになったりするわけです。
 たった3分間程度のコンプリメントでこうですから、もっと丁寧にやったら、より大きな変化、さまざまな変化が起こるはずです。


【女性参加者の感想】

 母親役をやってみて、①の会話のときは、宿題もしないでゲームばかりやって、ヘンに言い訳がうまい次郎くんにカチンときたりしたんですが、②でいいところを見つけてほめているうちに、彼に対する自分の感情が温かいものに変わってきたのが面白かったです。

 いま、とても重要なことを言っていただきました。
 次郎くんの言い分は、一見、宿題をしないことを正当化しようとするしょーもない内容に思えますが、いいところを探しはじめると、「たくましいな」「お母さんとちゃんとコミュニケーションがとれているな」「ゲームを長時間やれる集中力があるんだな」等々、たくさんの長所と可能性が見えてきます。

 そして、それを「あなたには、こんなにいいところがあるんだね」と次郎くんに投げかけることによって、彼のなかに「自分ってこんなにいいところがあるんだ」「それを見つけてくれる人がいるんだ」という気持ちが高まってきます。と同時に、コンプリメントする側の親のメンタリティにも大きな変化が起こります。「けっこういいところあるな」と次郎くんを見る目が変わってくるわけです。そうなると、親子間の関係性にもさまざまな変化があらわれてきます。

 そろそろ時間になりましたので、終わりにしたいと思います。今日お話ししたことが、ひとつでもみなさんのお役に立てば、うれしいです。お家に帰ったら、ぜひ「観察」「メタメッセージの理解」「コンプリメント」をやってみてください。きっと新たな変化が起こると思います。ご清聴ありがとうございました。

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